手を振る少女
英語の勉強がはかどらず、落ち込んでいた自分は星野源さんの「ばらばら」を聴きながら駅の前を歩いていた。
世界は ひとつじゃない
あぁ そのまま ばらばらのまま
歌詞を口ずさんでいると、幼稚園くらいだろうか。一人の少女がこちらをみて手を振っていた。
イヤホンが気になったのか、僕の顔がおかしかったのか、誰かと勘違いしたのか分からないけれど、たしかに僕に笑いかけている。たしかに僕に手を振っている。下から覗き込むように、ずっと手を振りながら、微笑んでいた。僕もイヤホンを外してを振り返すと、そこには無邪気な少女の笑い声が雨音共に響いていた。少女の帰る方向は僕とは違ったたらしく、直ぐに別れることになってしまったが、少しの間少女の姿が頭から離れることはなかった。
イヤホンを耳に戻すと、小さな耳の中で源さんの歌声が太陽のように輝いていた。
君の声を聞かせて
雲をよけ世界照らすような
君の声を聞かせて
遠い所も 雨の中も
すべては思い通り